この記事でわかること
・冷凍野菜の栄養は生の野菜と比べて落ちるのか、数字で見た答え
・ビタミンCが減るのはどの工程で、家で冷凍したものとは何が違うのか
・冷凍野菜で1日350gに近づけるときの、1皿ぶんの足し方と温め方
・国産の冷凍野菜を選ぶときに、袋の裏のどの欄を見ればいいか
市販の冷凍野菜の栄養は、生の野菜を家でゆでて食べる場合と大きくは変わりません。栄養が抜けていると思って生の野菜を買い、使い切れずに傷ませる人は少なくありません。日本冷凍食品協会がまとめた数字では、冷凍したほうれん草を1年保存したあとも、ビタミンCは94%が残っていました。
この記事では、その数字の読み方と、冷凍野菜を使って足りない野菜を埋める方法をまとめます。
冷凍野菜の栄養は生の野菜と大きくは変わらない
冷凍野菜の多くは、凍らせる前にさっと加熱されています。この下ゆでで、ビタミンCのように熱や水に弱い栄養素は少し減ります。ただ、その減り方は、生の野菜を家でゆでたときに減るのと同じ程度だと日本冷凍食品協会は説明しています。ほうれん草やブロッコリーは、どのみち加熱して食べる野菜です。生で買っても冷凍で買っても、口に入るときの状態はほぼ同じ、ということになります。
凍らせたあとは、−18℃以下で保存しているかぎり、ビタミンCの減り方はとてもゆるやかです。
冷凍野菜の栄養価は1年保存してもほうれん草でビタミンC94%
日本冷凍食品協会が紹介している研究で、冷凍野菜を−18℃以下で12か月保存しました。そのあとのビタミンCの残存率を、高い順のランキングにすると次のとおりです。

| 冷凍野菜 | 12か月後のビタミンC残存率 |
|---|---|
| ほうれん草 | 94% |
| 西洋かぼちゃ | 87% |
| にんじん | 77% |
比べる相手は、生の野菜です。同じ協会の資料によると、生のほうれん草を7月の室温に置いた実験では、収穫から25時間後にビタミンCが約80%に、50時間後には70%以下に減っていました。畑から店に並び、家の冷蔵庫で数日置かれるあいだにも、生の野菜の栄養は少しずつ減っています。
冷凍のほうれん草 12か月後に 94% / 生のほうれん草(7月の室温) 50時間後に 70%以下
2つは別々の条件で測った数字なので、そのまま優劣をつけるものではありません。それでも、冷凍だから栄養が抜けている、という心配は当たらないことが分かります。冷凍野菜は旬の時期に収穫したものを加工するので、季節によっては店頭の生の野菜より栄養が多いこともあると協会は説明しています。
工場の3つの工程で冷凍野菜の栄養が保たれる
栄養が残る理由は、工場での作り方にあります。

- さっとゆでる。90〜100℃の湯や蒸気で、ふだんの調理の70〜80%ほどまで加熱します。野菜の中の酵素の働きを止めて、保存中に色や味が変わるのを防ぐ工程です
- 一気に凍らせる。−30〜−40℃ほどの低温で急速に凍らせます。氷の結晶が大きくなりやすい−1〜−5℃の温度帯を30分ほどで通り抜けるので、細胞が壊れにくくなります
- 冷たいまま届ける。工場から倉庫、配送のトラック、店の冷凍ケースまで、−18℃以下で管理されます。この温度では食品を傷ませる菌が増えないため、保存料を使う必要がありません
家で冷凍した野菜は市販品と同じにはならない
ここまでの数字は、工場で作られた市販の冷凍野菜の話です。家の冷凍庫は凍るまでが遅いので、同じにはなりません。家の冷凍庫で生の野菜をそのまま凍らせると、凍りきるまでに時間がかかります。そのあいだに氷の結晶が大きく育って細胞を壊すので、解凍したときに水と一緒にうま味や栄養が流れ出やすくなります。家で冷凍するなら、市販品と同じように、かために下ゆでしてから小分けにして凍らせると、傷みにくくなります。
冷凍野菜で1日350gに近づける使い方
厚生労働省は野菜を1日350g食べることを目標にしていますが、2023年の国民健康・栄養調査では、20歳以上の平均は256gでした。一般的な野菜料理1皿には約70gの野菜が入っているので、足りない分は1皿と少しです。冷凍野菜は包丁もまな板も要らないので、この1皿を足す手段として向いています。
| 足す場面 | 使う冷凍野菜とやり方 |
|---|---|
| 朝の味噌汁 | ほうれん草、刻みねぎ、きのこミックス 沸いた汁に凍ったまま入れて、ひと煮立ちで火を止める |
| 昼の弁当や社食 | ブロッコリー、いんげん、枝豆 電子レンジで温めて、1食に1皿ぶんを持っていく |
| 夜のカップ麺やレトルト | カット野菜ミックス、キャベツ、もやし お湯を注ぐ前に凍ったまま入れておく |
| 休日の作り置き | かぼちゃ、にんじん、さといも 凍ったまま煮物やスープに入れて、まとめて作る |
量の見当は、袋に書かれた内容量で付けます。たとえば内容量300gの袋なら、70gずつ使えば4回ぶんです。キッチンスケールがなくても、最初に1回だけ量って、どれくらいのひとつかみが70gかを手で覚えておけば十分です。
栄養を逃がさない使い方のコツは3つです。
- 解凍せずに凍ったまま加熱する。常温で解凍すると、出てきた水と一緒にビタミンCなど水に溶ける栄養が流れます
- 加熱しすぎない。工場ですでに7〜8割まで火が通っているので、温まれば食べられます
- ゆでるより、汁ごと食べる料理か電子レンジを使う。味噌汁やスープなら、汁に溶け出た分も一緒にとれます
冷凍野菜の解凍方法は凍ったまま加熱が基本
冷凍野菜は、自然解凍してから使うより、凍ったまま鍋や電子レンジに入れるほうが向いています。日本冷凍食品協会も、工場で下ゆでしてある分、解凍して調理するときは加熱しすぎないよう注意を呼びかけています。サラダに使いたいときは、袋の表示で「加熱してください」と書かれていないかを先に確かめます。
1皿ぶんを足せる冷凍野菜の簡単レシピ
- ほうれん草と卵のスープ。鍋に水200mlと顆粒だしを入れて沸かし、冷凍ほうれん草70gを凍ったまま入れます。再び沸いたら溶き卵を回し入れて火を止めます。1人分で1皿ぶんです
- ブロッコリーのレンジ蒸し。耐熱皿に冷凍ブロッコリー70gを並べ、ふんわりラップをして電子レンジで温めます。温める時間は袋の表示に合わせ、かつお節としょうゆをかければ1皿です
- カップ麺に野菜ミックス。お湯を注ぐ前に、冷凍の野菜ミックスを70g入れておきます。お湯の温度が少し下がるので、表示の時間より長めに待ちます
国産の冷凍野菜は袋の裏の2つの欄で見分ける
店に並ぶ冷凍野菜の多くは輸入品です。農畜産業振興機構の資料によると、2023年に輸入された冷凍野菜は111万9000トンでした。国産の冷凍野菜は市場の1割程度だろう、というのが業界の見方だと紹介されています。国産を選びたいなら、袋の裏の表示を見ます。

- 海外で作られた商品は「原産国名」の欄に国名が書かれています
- 国内で作られた商品は「原料原産地名」の欄を見ます。2022年4月以降に作られた加工食品には、いちばん多く使われている原材料の産地を書くことが義務になりました。野菜が日本で採れたものなら「国産」と書かれます
一つ気をつけたいのは、「国内製造」という書き方です。消費者庁によると、これはいちばん多い原材料が国内で加工されたものだという意味で、その原料の野菜が国産であるという意味ではありません。野菜の産地を知りたいときは、「国産」や都道府県名が書かれているかを見てください。
冷凍野菜の栄養についてよくある質問
Q. 冷凍野菜は体に悪いのですか
A. 市販の冷凍野菜は−18℃以下で管理されていて、この温度では菌が増えないため、保存料を使っていません。冷凍であること自体を理由に避ける必要はありません。気になる場合は、袋の原材料名の欄で野菜以外に何が入っているかを確かめてください。
Q. 冷凍野菜だけで1日350gにしてもいいですか
A. 量としては数えられます。ただ、冷凍で売られている野菜は種類がかぎられるので、同じものが続きやすくなります。生の野菜や外食の小鉢と組み合わせて、足りない1皿を冷凍野菜で埋める使い方が続けやすいです。
Q. 冷凍野菜の賞味期限は袋のどこで確かめますか
A. 商品ごとに袋に書かれています。これは、表示の保存方法(−18℃以下)で保存した場合の期限です。開封したあとは口をしっかり閉じて、早めに使い切ってください。
Q. 業務スーパーなどの大容量の冷凍野菜でも栄養は同じですか
A. 下ゆでして急速に凍らせる作り方の基本は、店や容量で変わりません。選ぶときは、日本冷凍食品協会が挙げる点を見ます。売り場のケースの温度計が−18℃以下か、カチカチに凍っているか、包装が破れていないか、表示がきちんとあるか、の4つです。産地は「原産国名」か「原料原産地名」の欄で確かめます。
Q. 一度溶けた冷凍野菜をもう一度凍らせてもいいですか
A. 溶けるあいだに氷の結晶が大きくなり、食感と味が落ちます。使う分だけ取り出して、残りはすぐに冷凍庫へ戻してください。
Q. 冷凍のミックス野菜のじゃがいもやコーンも野菜の量に入りますか
A. じゃがいもは栄養の分類ではいも類として別に数えます。スイートコーンは野菜に入ります。野菜の量を稼ぎたいときは、ほうれん草やブロッコリーなど葉や花の野菜が多いミックスを選ぶと数えやすくなります。
まとめ
市販の冷凍野菜の栄養は、家でゆでた生の野菜と大きくは変わりません。ほうれん草は冷凍で1年保存してもビタミンCが94%残っていました。忙しくて野菜が足りない日は、凍ったまま味噌汁やスープに入れて、1皿70gを足してください。国産を選ぶなら、袋の裏の「原料原産地名」の欄を見ます。
参考にした資料
・日本冷凍食品協会 冷食オンライン「冷凍野菜の栄養」(ブランチングの温度と加熱の程度、急速凍結の温度、−18℃以下の管理、12か月後のビタミンC残存率、生のほうれん草の収穫後の変化)
・農畜産業振興機構「冷凍野菜の動向」(2023年の輸入冷凍野菜量、国産の割合の見方)
・厚生労働省 e-ヘルスネット「野菜1日350gで健康増進」(目標量350g、2023年の平均256g、野菜料理1皿約70g)
・消費者庁「新たな加工食品の原料原産地表示制度に関する情報」(2022年4月以降の原料原産地表示、「国内製造」の意味)
・日本冷凍食品協会「よくあるご質問」(ブランチングした野菜の加熱の注意、冷凍食品を選ぶときの4つの点)
・農林水産省「野菜を食べようプロジェクト」