この記事でわかること
・日本人に足りていない野菜は1日あたり94gで、小鉢にすると1皿と少しであること
・外食の定食、丼、麺類それぞれで、何を足すと1皿ぶんになるか
・コンビニだけで完結させるときに選ぶものと、選んでも量が稼げないもの
・野菜ジュースと青汁が代わりになる部分と、ならない部分
野菜が足りていない自覚はあっても、では何グラム足りないのかを言える人はほとんどいません。国が目標にしている量は1日350gですが、実際に食べられている量の平均は256gです。差は94g、小鉢1皿と少しです。1食ぶんを丸ごと入れ替える話ではなく、1日のどこかに小鉢をもう1つ置くかどうか、という程度の差でしかありません。
その94gは、外食でも、コンビニでも、自炊をしなくても埋まります。以下、足すものを具体的な名前で並べます。
野菜不足の正体は1日94gの差
厚生労働省は健康日本21(第三次)で、野菜の摂取量の目標を1日350gとしています。一方、2023年の国民健康・栄養調査では、20歳以上の平均摂取量は256gでした。男性が約262g、女性が約251gです。
目標 350g - 実際の平均 256g = 足りない 94g
一般的な野菜料理1皿には、およそ70gの野菜が入っています。350gは小鉢5皿ぶん、足りない94gは1皿と少しという計算です。ほうれん草のおひたし、具だくさんの味噌汁、冷奴に乗せる薬味とサラダ、そのあたりを1日1つ増やせば届く量です。

350gの内訳にも目安があり、健康日本21ではそのうち120g以上を緑黄色野菜からとることが示されています。にんじん、ほうれん草、かぼちゃ、トマト、ブロッコリーなど、色の濃い野菜です。残りの230gはキャベツ、玉ねぎ、大根、白菜といった色の薄い野菜でかまいません。「緑のものを1日1回」と覚えておけば大きく外しません。
野菜不足で先に出るサイン
野菜が減っても、すぐに病気になるわけではありません。先に出るのは、体調が悪いとまでは言えない程度の小さな変化です。
- お通じの間隔が空くようになった
- 肌が乾きやすい、口内炎ができやすい
- 夕方に集中が切れる、疲れが翌日に残る
- むくみが出やすい、味の濃いものを欲しがるようになった
野菜からとれる栄養素で代表的なものは、食物繊維、カリウム、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB群、カルシウムです。食物繊維はお通じの材料になり、カリウムは塩分の排出に関わります。外食が続いて塩分が増えているときほど、カリウムが要る、という関係になります。上のサインは、この2つが減ったときに出やすいものです。
野菜不足が続く理由は好き嫌いではない
野菜が嫌いだから食べていない人は、実は多数派ではありません。量が減る理由はもっと単純です。
- 1日の食事回数が少ない。朝を抜くと、その時点で1皿ぶんの機会がなくなります
- 外食と中食が多い。丼物、麺類、パンで済ませると野菜はほぼ入りません
- 買っても使い切れない。一人分だと1玉を余らせるので、そもそも買わなくなります
- 値段が上がった。天候で相場が動く年は、意識せずに買う量が減ります
どれも、料理を頑張れば解決するという話ではありません。だから対策も「作る」ではなく「足す」に寄せます。
外食であと1皿を足すときの選び方
外食は、主食の形でどれくらい野菜が入るかがほぼ決まります。何を頼んだかによって、足すものを変えるほうが早いです。
| 頼んだもの | 入っている野菜の目安 | 足すと1皿ぶんになるもの |
|---|---|---|
| 定食(焼き魚・生姜焼き) | 付け合わせのみで30g前後 | 小鉢(ひじき煮、おひたし、切り干し大根) |
| 丼もの(牛丼・親子丼) | 玉ねぎ中心で20〜40g | 豚汁かけんちん汁、生野菜サラダ |
| ラーメン | ほぼ入らない | 野菜増し、コーンとメンマではなくもやしとねぎ |
| パスタ・カレー | 具による。ミートソースはほぼ0 | サラダを単品で追加 |
| そば・うどん | 薬味のみで10g前後 | 野菜の天ぷらではなく、山菜やわかめ、月見と青菜 |
ポイントは、揚げ物で野菜をとろうとしないことです。かき揚げやコロッケは野菜料理として数えづらく、量のわりに脂質だけが増えます。汁物と小鉢のほうが確実です。
コンビニで94gを埋めるなら何を買うか
コンビニだけで完結させることもできます。ただし、見た目が野菜らしいものと、実際に量が入っているものは一致しません。
| 買うもの | 野菜量の目安 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| カットキャベツ(千切り) | 1袋で100g前後 | そのまま器に開ける。1袋で94gがほぼ埋まる |
| 具だくさんの豚汁・スープ | 1食で60〜100g | 加熱でかさが減るので量を稼ぎやすい |
| サラダチキンとサラダのセット | サラダ側で60〜80g | 昼食を軽くしたい日 |
| おでん(大根・こんにゃく) | 大根1個で60g前後 | 寒い時期の夜食や、軽い夕食 |
| ポテトサラダ | いも中心で野菜としては少ない | 量の足しにはなりにくい |
| レタスサンド | 20〜30g | 主食扱い。これ1つでは埋まらない |
いちばん確実なのはカット野菜です。洗ってあり、1袋がおおむね100g前後なので、封を開ければその日の不足はほぼ消えます。日持ちは短いので、買った日に食べる前提で選んでください。
自炊しない人が常備しておくもの
包丁を使わずに量を増やす方法だけを残すと、次の3つになります。
- 冷凍野菜。ブロッコリー、ほうれん草、和風野菜のミックスは、レンジで温めるだけで1皿ぶんになります。使う量だけ出せるので余りません
- カット野菜。買い置きはできませんが、コンビニでもスーパーでも同じ形で手に入ります
- 汁物。加熱するとかさが減るため、生のサラダより量が入ります。インスタントの味噌汁に冷凍野菜を足すだけでも成立します
生で食べると量が多く見えますが、実際に重さを稼ぎたいなら火を通したほうが有利です。同じ350gでも、生のままなら両手に山盛り3杯、加熱すれば片手に3杯ほどに収まります。

野菜ジュースと青汁で代わりになる部分
「1日分の野菜」と書かれた飲み物は、原材料としては350g相当を使っています。ただし、そこに入っているものと、失われているものがあります。
- とれるもの。カリウム、βカロテンなど、加工しても残りやすい栄養素
- 減りやすいもの。食物繊維。搾る工程で取り除かれる製品があり、量は原材料と同じにはなりません
- まったく代わりにならないもの。噛む回数と満腹感。食事の置き換えには向きません
結論として、飲み物は「その日どうしても食べられなかったときの補い」に置くのが現実的です。毎日これで済ませるつもりなら、食物繊維の表示を見て選んでください。
同じ買うなら国産を選ぶ理由
もう一つ、量とは別の話をします。日本の野菜の自給率は、重量ベースで令和6年度が78%(概算)です。昭和40年度は100%でした。ほとんど国産だったものが、5本に1本以上は輸入に置き換わっている状態です。
| 年度 | 野菜の自給率(重量ベース) |
|---|---|
| 昭和40年度 | 100% |
| 平成7年度 | 85% |
| 令和2年度 | 80% |
| 令和5年度 | 80% |
| 令和6年度(概算) | 78% |
売り場で国産と輸入品が並んでいるとき、価格差が数十円なら国産を選ぶ。それだけで、産地に残るお金が変わります。旬のものは値段も下がるので、この選び方は家計とも衝突しません。夏はトマトときゅうり、秋から冬は大根と白菜とほうれん草、春はキャベツと新玉ねぎが安くなります。
毎年8月31日は「野菜の日」です。農林水産省は「野菜を食べようプロジェクト」として、野菜の消費を増やす取り組みを企業や団体と一緒に進めています。
野菜不足についてよくある質問
Q. 野菜不足を防ぐには1日350gを毎日きっちり守る必要がありますか
A. 1日単位で完璧にする必要はありません。目標は平均の話なので、食べられない日があっても翌日に多めにとれば埋まります。毎日きっちり守ることより、週単位で足りているかを見るほうが続きます。
Q. 野菜ジュースだけで350gの代わりになりますか
A. なりません。原材料は350g相当でも、食物繊維は搾る工程で減ることがあります。食べられなかった日の補いとして使ってください。
Q. いも類やきのこ、海藻は野菜に入りますか
A. じゃがいもやさつまいもは、栄養の分類ではいも類として別に扱われます。きのこと海藻も野菜そのものではありませんが、食物繊維はしっかりとれるので、料理として足す価値はあります。
Q. 野菜不足はサプリメントで代用できますか
A. 特定のビタミンやミネラルは補えますが、食物繊維の量と噛むことは代わりになりません。食べられない日の下支えという位置づけが妥当です。
Q. トマトジュースや漬物でもいいですか
A. 量としては数えられます。ただし漬物は塩分が高いので、量を稼ぐ目的で増やすとカリウムより先に塩分が問題になります。
まとめ
野菜不足という言葉は漠然としていますが、中身は1日94gの差です。小鉢1皿と少し、カットキャベツなら1袋、具だくさんの汁物なら1杯で埋まります。外食なら小鉢か汁物を足す、コンビニならカット野菜を足す、家では冷凍野菜を温める。この3つだけ決めておけば、献立を考え直す必要はありません。
そのうえで、同じ量を買うなら国産を選ぶ。自給率が78%まで下がっている以上、売り場での小さな選択が積み上がります。
参考にした資料
・厚生労働省 e-ヘルスネット「野菜1日350gで健康増進」(目標量350g、2023年国民健康・栄養調査の平均256g、野菜料理1皿およそ70g)
・厚生労働省「健康日本21目標値一覧」(緑黄色野菜120g以上)
・農林水産省「令和6年度食料自給率を公表します」(令和6年度食料需給表・品目別自給率の推移)
・農林水産省「野菜を食べようプロジェクト」